01/暇つぶしにすらならない日常



「う……」

妙に気分が優れない。やけに重く感じる瞼を開くと、目に飛び込んだのは正方形の枠を升目に並べられた天井。薄々と光る蛍光灯。毎日通えばお馴染みになるだろう教室の天井を見上げているということは、寝ている状態にあたる。

(何で、こんな所で寝て…)

思考を巡らせようとした途端、突き刺すような臭いが鼻を直撃した。咽かけた所に天井を遮って現れた、鳴神学園の生徒だと主張する制服を着込む男子達に驚く。囲まれている上に生徒の一人が馬乗りして此方を見る。

「あっ、先生。起きました?」
「え……な!?な、何だ」

ネクタイを一気に引き抜かれ、起き抜けの頭には応えた。ぐらぐら脳を揺さぶられて余計、思考が散り散りになる中、肌蹴られた黒いワイシャツに潜り込む手が目に映る。おまけに黒布もない。いつから脱がされていたんだと聞く暇も、訴える暇もなく肌に触れる温度に反応した。

「っあ!?な、なにし、おいっ!」
「すいません、先生の乳首ずっと見てて、こういうことしたくなっちゃいましたあ」

親指と人差し指で輪を作り、くんっと、乳首を固定させられる。その上から熱の篭った性器を押し当てられ、流石に慌てて馬乗りする生徒の足を退けようと手に力を入れた。

「パイズリですよ、パイズリ〜!一度は夢見る行為でしょう?」
「おめー、男相手にそんなこと言ってどうすんだよバーカ!」
「できるできるって、先生なら」

しかし全体に重力をかけていた為、寝そべっている大人が精一杯の抵抗をみせても動くことは敵わなかった。そのまま乗り掛かった生徒は性器を押し付けて、乳首に亀頭をぐりぐり押し付け始めた。

「ははっ、先生の乳首当ってきもちい〜い」
「あっ、やっ、押し付けるな…っ……やめろっ、離れろ!」
「いいとこで、ハイ分かりましたあなんていう馬鹿います?」

そのまま上下に擦られると、むず痒い感触が胸から広がっていく。その感触を意識すればするほど下半身にまで熱が集まってしまう。自分の身体の変化に動揺を隠せなかった。悟られないよう足をきつく閉じた。

「それにホラ、先生だって気持ちよくないですか?ぷっくり勃ってきてますよ」
「な、何を言って……」
「ほぉ〜ら、ぐりぐりっと」
「…っ……ぃっ……」

更に押し付けられて、勃っているのか確認出来ないほど陥没する。調子に乗っている生徒は尿道口を刺激させて自身の快楽を楽しみ、声が段々荒くなる。

「ん、ん〜〜〜、ん、出そうッ、先生の綺麗な肌にかけてあげますねっ」
「なっ!ぃっ!?待―――っっ!?」

受け止める要素がない、ただ押し付けていただけに滾るような熱さを持った精液がごぷんっと嫌な音を立てて溢れ出、胸元から零れ落ちる。

「あっあぁ、あっ……あああ……あついっ……!」

直に感じる熱に思わず目を瞑る。性の匂いがより一層濃くなって、眩暈を起こしかけた。このまま気絶してしまえたらどんなにいいことか、と一瞬思った言葉を霧散させた。性欲に飢えた生徒達に良い状況を与えることになってしまうからだ。

「わーぐっちょぐちょ」
「ああ、先生。気持ち良かったんですね?こっち少し勃ってるじゃないですか」
「さ、触っ、あっ!っ、ん…んっ!」

すっきりした顔で自身を仕舞う為、腹の上から降りる同時に別の生徒が此方へやってきて些細な違和感を察知し、きつく閉じた筈の足の間を巧みに手を忍ばせて布の上からぐっと押されて新たな快感が全身を駆け巡る。

「えーなに?ちんぽでおっぱい擦られて精液かけただけで勃ったとかすごくね?駄目じゃん先生がインランなんて〜」
「ちが」
「じゃあ証拠見せてくださいよ、証拠〜」

ズボンに手掛ける生徒達の行動を止めようと慌てて上半身を起こすと、いつの間にか後方にいた生徒が羽交い絞めにして耳元で息を吹きかけられ、力が緩む。その隙を狙って一気に下着と一緒に脱がされ、外気に触れた。

「やめ、ッ」

「センセー、放課後とはいえ流石に声上げたら誰か来ると思いますよー」
「そうしたら困るの先生だと思うんですが」

脱がされる際に革靴のせいでズボンが絡まり、舌打ちしながら革靴まで取られて完全に逃げる機会も抵抗する機会も失う。折り曲げたズボンと革靴を誰かの席に置いて視線を戻される。剥き出しになった下半身に集まっていると思うと不快感でしかない。

「ぅ……ぅっ」

居た堪れなくなり、顔を俯けると周りで感心した声が上がる。勝手に盛り上がってるのをいいことに身体を縮めると生徒の手が伸びてきた。

「そうそう、先生話分かるー」
「ひっ」

親が子を褒めるように、よしよしと精液に塗れた胸を撫で上げられて短い悲鳴が上がる。すっかり冷たくなってしまった液体の滑りと赤く充血した乳首の色が混じり合い、輪郭をぼやけさせた。

「なになに?乳首気持ち良いんですかぁ?」
「ぐりぐり〜ってされるの好きですか?」

前方からも後方からも皺を作った黒ワイシャツの中で主張する乳首を、片方は抓ったり弾いたり、もう片方は引っ張ったり指の腹で擦ったりして、それぞれ分散した刺激を与えてきた。声を出すのは不味いと言った割にはお構い無しに刺激を幾度も送り込む生徒達によって、理性の中から本能を引き出される。

「ああっ、ちが、ちがうっ!あっ、やめ」
「あ、いけないんだ。センセー、しっかり反応してるくせに嘘はいけないですよ、
生徒の信用度落ちちゃうじゃないですか」
「そんな嘘つきな先生には罰を与えなくちゃいけませんね。はい、ご開帳〜!」

「ァっ!?」

理不尽な言い分を否定する時間さえくれず、後方にいた生徒によって拡げられた下半身に集中し出す視線に耐えられず、閉じようと努力を施す。

「先生は生徒に事実を伝える義務ありますよね?教えてください、どうなってますか?」
「俺も知りたいでーす!」
「僕も知りたいでーす!」

先生お願いします。あ、敬語でえろいこと言ってくれると嬉しいです。おちんちん感じましたーって、アハハ。下品な提案を持ち出した生徒に対して賛成の挙手で一杯になる。

「ぁ、い、や、そんな、そんなの…っ」
「じゃあこのままですけど」
「それでいいなら、大いに見せ付けてくださいー先生かわいーから問題ないです」
「あ、俺、撮ってもいいですかー」

ズボンのポケットに入れていた携帯電話を取り出して、此方へと構えるのを見て事態がどんどん大きくなっているのが見て取れた。否定も拒否も無駄なら、出来ることは一つ。生徒達に従うこと。

「っ、う、う…うっ……や、あ……ち………乳首い、いじられて…お、おちんちん、ぅ、ひっう…う、か…………感じました……んっ」
「わー先生えろーい!」
「や〜らし!証拠げっつー」
「俺も撮ったー!ムービー付きだからいつでも再現ばっちし」

「……!? えっ、ま」



「センセー安心してください。そんなやらしいところも僕達受け容れてあげますよ」



罪悪感など一欠けらもなく、生徒達が無邪気に笑うのを見て自分の考えがいかに浅はかだったか思い知ることになる。




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