まずはじめには瞳を見ること、

そして次には本能のまま











※「エロスもアガペーも要らない、キューピドもカリタスも知らない、」の続編です。
  ・悪クラ設定ですが、殺クラ消滅していない場合です。





















「新堂」

名前を呼ばれて、思わず警戒を放った。召喚後の彼は酷く冷めた態度を振舞うからだ。その緊迫感を一瞬にしてぶち壊してくれるはずの倉田が用事で不在だった為、扱い方に窮した新堂は沈黙を続けた。判断は間違っていない、そう決め付けた矢先、小さく笑う彼の視線が新堂を射抜く。

「お前、僕に『何を』重ねてるんだ」

勝手な推測は止めて欲しい。睨みつけても平然とした態度で此方へと一歩、足を向ける。此処は引いた方がいいのか――踏ん切りがつかずにいると。

「駄目だな」
「…ぁあ?」
「迷いがあるうちは僕に勝てないぞ」

たった1cm差の身長が仇になった。触れ合う箇所が熱を帯び、反射的に飛び退こうと足に力を入れたのを彼は直ぐに感知し、腕を引き寄せて舌を捻じ込んだ。

「―――!」
「っ、…痛い。血が出たじゃないか」

侵入してきた異物を取り除いても残された感覚はなかなか消えず、何度も口を拭う。
非を擦り付ける彼が気に入らなかった新堂は湧き起こる怒りをぶつけようかと考えた。
……考えただけで、実行はしなかった。する必要性が何処にも見当たらない。

「ぶっ飛びすぎだ」
「…そうかな?だとすると、此処を選んだお前もそうだ」

口の中で広がる血を舐めながら吐く彼の言葉は、悪魔の甘い囁きにも似ている気がした。悪魔との駆け引きで何かを学んだ、といったところか。

「…………」
「理由は聞かないよ。だから、おいで」
「断る」
「お前にとって損なことじゃない。それに」

聞き分けのない犬を呼び寄せるように人差し指で招く。

「望んでいる『何か』に重ねればいい」
「じゃあ」

先ほどから誘い続ける視線に負け、彼の傍へ寄ると頭を撫でられた。本気で犬扱いだ、なんて思う暇もなく血の匂いを漂わせた舌をゆっくり入れられる。物事を勝手に進められては困る、肩を掴んで引き剥がした。

「お前は『何に』重ねるっていうんだ」
「聞きたいのか?―――いいよ」

軽く頬に唇を付け、そのまま耳元で囁かれる。

「   」





「最ッ―――――悪だ!」



*



「思い出した。こんなこと始めたの、お前じゃねえか」
「そうだっけ?まあ、いいじゃないか過去のことは」

軽く微笑んで、黒ワイシャツの襟首にネクタイを通していく。高校時代を懐かしく思い出したとはいえ、全然変わらない態度に不満を持った。

「……気にしなさすぎ」
「気にして欲しかったのか?」
「べっつに…」















「安心しろ、今でもそっくりだよ」
「最ッッ悪じゃねえか!!」










10/02/02  風間も新堂も綾小路のこと異質とは思わずに普通に扱いそうだなあと。