02/気持ちいいね、気持ちいいよね、
「これで全員?おしまい?んん〜〜っ、綾ちゃんに対する愛情た〜っぷり!濃厚なのを注いであげたの分かるかな、分かるよね、匂いすっごいもんね〜〜!」
「ゆきちゃんらしい清潔な匂いがもう無くなって青臭いね、男の匂いだね、オス臭〜い!」
あひゃあひゃ、顔の肉が分厚いせいか普通の笑い方が出来ずに顔をにやつかせるだけだった。声が辺りで響く。少し膨れた腹を撫で上げられた後、腸内に性器を突っ込んで栓したまま腰を掴んで持ち上げられて浮遊感に恐怖を感じて、硬直した。
「っ」
直後、直ぐ傍にあるトイレに座らされた。男子トイレには必ずある立って小便をするタイプの、小便器に。皺くちゃになったワイシャツの背中が濡れ、少し溜まった水が尻に当たって全身が総毛立つ。
「ひっ…や、なに、は、は」
「ぼくたちの愛情たっぷり受け止めて、腹ボテなゆきちゃん見れたから〜すごく満足☆後は出すだけっ」
そう言って撫でていた手汗のついた大きな手で腹をぐっと押し、逆に栓していた性器を勢いよく引き抜いた。
「ッ―――――!!!あ、ああああああ、ァ――――っ、あッ!うっ、ぐうえええええっ、えっげっぐ、はあっは―――はっ!んぐっ、ぇげっ!」
逆流する精液の凄まじい匂いに耐えられず、その場で吐き出した。びちゃびちゃっ、胃の中身が腹に置いた手にも掛かった。更に酷い異臭を放ち、鼻が麻痺する。しゃがみ込みたくても腹を押さえつけて両足を開かせている男が退かない限り、許されない。
「ひっどーいにおい!!手に掛かっちゃったよぉ〜うふうふひゃふひゃ」
「は、は、ひ」
笑いながら立ち上がって無事な手で性器を仕舞うと洗面器に向かった。それを見て小便器から離れられると思い、両手を伸ばして床に付こうとすると複数の足に囲まれて邪魔される。
「ぇあ」
「きたないね〜、汚れちゃった綾ちゃんもかわいい」
「うん、でもこのままにしておいちゃ可哀相だから〜ボク達がきれいにしたげるねっ」
「顔、あげてあげて〜」
頬にぐりぐり生暖かい物体を押し付けて顔を上げさせる。ぼやけた視界に逆光で綾小路を囲む何人かの顔が影に隠れて見えなかった代わり、てらてらと輝き、血管を浮かせた性器は禍々しくみえた。そのまま標的に亀頭を向けて一斉に、放尿した。
「……ッ!」
目を瞑って下を向け、終わるのをひたすら待った。容赦なく流れ落ちる液体の音や匂いを塞ぐことも出来ず、背中を預けている小便器の枠に爪を立てた。その姿は便所そのものだった。
「はいー、きれいになった!」
「よかったね〜」
「っ、う、うえ、……ん……は……」
すっかり皺くちゃになり、液体を吸い取ってしまったワイシャツの裾を掴んで剥き出しの下を懸命に隠していると次には蛇口から繋げたホースから出る水を掛けられた。全身を洗われる。尿がこびり付くよりは良いと、無抵抗で受けていると一人に腕を捕まれて小便器から脱出した。
「ぁ、え、あっ!」
再びタイル張りの床に仰向けで寝かし、肩を押さえつけられる。ついでにと片足を上げる。もう一人協力して同じように片足を上げて肩を押さえつけ、どんなに暴れようが無理な状態を作り出す。
「中、ボク達のせーえきでべとべとだから、ねっ」
「全部、綺麗に掻き出してあげるからねー」
ぐっ。ホースの先を後孔の中に挿れられた瞬時に次の展開を把握し、止めに掛かった。
「待ッ―――ひいっ!うわああああ!あ!ア!ァ―――つめた、はっ!ああああ無理無理無理むりっ!やめ、は、へ、ひぁあぁ!!ぃ!!!」
腹の中に冷たい水が入り込むのが嫌でも分かる。後孔から零れないように手で封じても、許容範囲を超えてごぶごぶ隙間から溢れる。
「あ―――!あ、あァあアァ―――あああアあ!」
「もういいんじゃない?お腹パンパン〜」
「だね〜じゃあ、えいっ」
一気に引き抜かれ、大量の水を噴き出した。中に留まっていた精液が綺麗に洗い流され、ぽっかりと開いた後孔の中は何人も受け容れて赤くなった腸内が見えた。
「すっごい!ひくひくしてる〜」
「えっろ〜い!」
抵抗する気力も無く全身痙攣している中、じっくりと後孔の中を見て一人一人感想を漏らした。
*
水を掛けられて重くなったワイシャツ一枚で、裾から水滴が滴り落ちるのをぼうっと見ていると目の前に綺麗に折り畳まれた白い布地が現れた。ゆっくり視線を上に向けると実に楽しそうな笑顔を浮かべる肉厚な顔が映る。
「だいじょ〜ぶ!ぼくたち君の体操着一回盗んでサイズ全部知ってるから!うふふふ、あ、体操服ごめんね?その後、オカズにしすぎて使い物にならなくなって捨てちゃったんだ」
体操着を差し出す一人が普通に、本当にごく普通に事情を曝け出したので周りでは当たり前のことで、自分一人が奇怪しいのだという変な錯覚を覚えた。言い終えると、別の一人がその言葉に続きを添える。
「なので、新しい体操着〜!返すね!」
見るからに真新しい物だと分かるので、言っていることは正しいのだろう。よろよろ壁伝いに立ち上がって受け取ろうとすると引っ込められた。意味が分からず、疑問符を浮かべると濡れたワイシャツと交換を条件にと言い出された。
「………………」
これを脱げば隠すものは完全に無くなり、生まれたままの姿になる。躊躇いが少し生まれたが、ずっとこのままで居るわけにもいかなかったので歯を噛み締めながら羞恥心を捨てた。わっと歓声が起こる中、片手で下部を隠しながらワイシャツと体操着を交換した。
「タオルもあげるね、これで身体拭くといいよ」
制服やパンツはびちょびちょだからクリーニングに出しておくね、と受け取った一人が勝手にビニール袋に入れて鞄の中に仕舞ってしまう。周りに裸を見られながらも、タオルで上手く隠して拭いた。此処までは良かった。この後を実行出来ずに、戸惑っていると誰かが不気味な笑い声をあげる。
「あれ?なぁに?裸のままで帰るつもりなの?うわあ、だいた〜ん!」
「すごいっ、そんなのビデオに撮っておきたいよ!くう〜!!」
「きっ、着る!着るから!…………み、見ないでくれ……」
「なんで?ボク達男の子じゃない、恥ずかしいことなんて何もないよお!」
「拭き終わったならタオルも返して!」
痺れを切らして、タオルを無理やり毟り取られる。もたもたして、本気で全裸で外を歩かされては堪ったものではない。折り畳まれた体操着を広げると一つ足りない物があったので、恐る恐る尋ねてみた。
「し、下着は……?」
「え?ゆきちゃんパンツ持ってないの〜?あらら、それじゃあ仕方ないね」
「しょうがないね〜しょうがないね、ふひひ!」
「ボク達、そういうの全っ然気にしないから安心してね〜〜〜」
にやにやと汚らしい笑みを浮かべるのを見、直ぐに勘付いて何も言えなくなった。反論すれば何が待っているかなど想像したくもない。黙って、皆の視線を痛いほど受けながらノーパンのまま短パンに足を通して穿くと布地が直接肌に当たって何とも言えない違和感が広がった。続いて上着を着込む。
「乳首立ってるね、ぷっくり〜かわいい!」
「っ」
上着の皺を伸ばした際に、盛り上がったのを一人が目敏く見つけ出した。反射的に胸を隠すと仕種が女の子みたいで可愛いと持て囃された。屈辱にも近い中、我慢して揃えられた靴下と靴を履いた。
「いつもジャージ着込んでたから分からなかったけど、うわ〜〜!うわ〜〜!なかなか刺激的ですなあ!」
「短パンくいって持ち上げると食い込んでパンツみたいになるよね〜〜したいな!していい?」
「足と足の間に顔埋めて匂い嗅ぎたい〜これやばい!!!」
「やっ……やめてくれ、も、もう嫌だ」
「コラ!もう帰るからダメダメです〜すとっぷ!!」
「はぁーい……」
「くーっ、今夜のオカズにする!」
正直言ってまた犯され尽くされるより今夜のオカズにされる方がまだましだと思い、ほっとしたのも束の間。聞き捨てならない言葉が耳に入ってきた。
「そんな焦らなくてもいいでしょ、また次の機会にやればいいわけだし」
「あ、そっか〜」
「じゃあ次はブルマにしよ!ゆきちゃん絶対似合うよ!」
「いいねー!!あと前以てビデオカメラ借りようよ!!動くの見たい!」
「え……?」
「どうしたのゆきちゃん、顔色悪いよ?大丈夫?」
ぷくぷくとした手でそっと優しく腰を撫でたつもりで、下着のない布地で守られた尻まで撫でられて不快感が肌を通して伝わる。
「最後まで気付かなかったもんね、気持ちよすぎて眼中になかったのかな〜うぷぷぷ」
「ボク達、綾ちゃんだ〜いすきなんだよ?だからね?この日の為に色々準備してたんだよ」
「ねー?ほんと三日も抜かずに我慢した甲斐があったなあ。ボク達とゆきちゃんの初めて記念日だもん、何か欲しいよね」
「じゃーん!いっぱい思い出撮ったから!現像したら見せてあげるよっ」
「あと制服も返したいし、クリーニング終わったら下駄箱に旧校舎に来てってお手紙と写真置いておくね」
使い捨てカメラを得意気に見せ出したのと同時につい先程までの酷い行為を思い出した綾小路は言葉を失い、ただ身体を震わせて恐怖で一杯になった……。
「わああああああ、ああああああああああ、ああああああああああああっ!」
「五月蝿いよう綾小路、もうちょっと声のトーンを落として落として」
「お前ふざけんな!!!!!!!!」
風間の胸倉を掴んで、言葉を断ち切らせた綾小路は涙を流しながら凄んだ。いまいち迫力に欠けていたので全然怖くない。
「何の恨みがあるんだ!お前また俺に嫌がらせか!!??死ねよ!」
「大川がいなくなって、僕もいなくなったら〜君、すごい無防備だね。例えるなら狼の群れの中にいる羊ちゃんだ」
「確かに、近いからって裏門から帰るには不気味だよなあそこ。人あんまり通らないし最近変質者に襲われた学生がいるって噂聞くし……風間の言うとおり気を付けた方が」
いつの間にか話を聞いていたのか吹奏楽部の部長が苦笑いでこそっと助言してきた。その言葉を聞いて、叫びを綺麗に止めて暫く硬直した。
「……、おっお前!全てはお前が根源だ!だから!!卒業まで付き合え!!!!」
「え〜僕、女の子大好き」
「下校だよ!!!!!クソばかざま!!」
「ハイハイ、しょうがないな〜も〜。いいよ」
胸元に顔を埋める綾小路を引き剥がさずに、面白おかしそうに頭を撫でてやる。暫くはこのホラ話でからかえそうだなあと風間は心の中で思った。
/綾小路七話による風間のホラ話が男性向けだったところから笑