02/従順な本能



「本当、余計なこと言わなくていいの君は」
「は、風間ちょっと……タイム」

ん、ん、鼻で息しつつ性器を咥えていた綾小路が奉仕を止め、口の端を伝う唾液を拭き取って内部に収めている指を抜いてくれと途切れ途切れの言葉で言うので、その通りにするとゆっくり上半身を起こして此方を見る。……物欲しげに。

「完全に勃起したみたいだけど、どうしよう?挿れたい?」
「言わなくていいって言ったそばから、言うな!」
「えっと……射精したい?」

俺としては中に挿れて欲しいな、なんて、恥ずかしげに言いつつも腰を擦り付けている。行動と本能がバラバラに動いてる様に少々むず痒さを覚えて、つい声を上げた。

「黙れ!」

仰向けの状態から身体を起こすと上に乗っていた綾小路がバランスを崩した。それをいいことに抜け出し、四つん這いにさせる。尻を突き出すように高く上げて解した後孔へ目掛けてすっかり硬くなった自身を挿し込むと声を詰まらせた。これでいい。

「っう、やだ、かざっ、ぁっ待ってあッ!あううっ、かざまっ!」
「はっ…挿れてやったからいいだろっ……まだ何か文句あるのか!」
「動かさないでっ、あ、あっあぁ!んっ、ん――っ、んっ、いやだっ……!これ、これじゃ……風間の顔が見えな、はっ、やだ……っ」
「―――ッ」

動きを止め、無理な体勢から仰向けにしてやると嗚咽を漏らす綾小路の視線がぶつかった。かと思うと、そのまま素早く両手を首に絡ませてきた。

「ふっ、ん、風間、風間」

耳元で誘うような、甘えるような声色で名前を呼ばれて内部に収めていた性器に熱が集中し出す。熱い、冷まさないといけない。綾小路を抱え込んでゆっくり抜き差しすると喘ぎ声が徐々に漏れ始める。

「あ、あぁ、あっ!……んん、っ、っふ、はっ……あつい…あつぁ、ん!んん、かざま、」
「な、んだよっ」

表情が見えなくとも声色でどういう状態にあるのか分かる辺り、僕も相当だと思いながら自己嫌悪に陥った。

「すき、うん、すきだ……はぁ、全部すき…………」

匂いも、手つきも、言い方も、何もかもが好きすぎて苦しいんだと。心が締め付けられて痛いんだと、これまた女の子が言いそうな可愛いことを平気でよく言えるもんだ。恥ずかしすぎて馬鹿にしてやろうと考えたのも束の間、ぎゅうっと全身で僕の全てを感じ取るように擦り寄って素直な感想を吐くこの反応を無視する方が難しい話だ、ということに達する。

「っあ、そこはっダメっ!」
「イイ、だろ」

癪に障って、入り口ギリギリまでゆっくり引き抜いて折り曲げた膝を掴んで奥まで深く突き入れると身体をしならせて叫んだ。こんこんとドアノックするような音が小さく聞こえる、同時に嫌がってる割には甘ったるい声が僕の耳を犯す。

「っ…あ、いい…っあ、いいっ、ああぁっ!や、あっ!も、だめ、や、かざまっ…出るっ、ぁ、出ちゃ」
「はあっ、僕、もだから、思う存分出せば…っ」
「んっ、んんん―――――っ!」
「ッ」

僕の肩に口を押し付けて達する。途端、締りが一段と狭くなり、僕も絶頂を抑えきれずに全部、綾小路の中にぶちまけた。過失ではなく、故意的にだ。そうしないと満足してくれない、といつからか決まったマナーだ。

「……………」
「はぁ……風間のでいっぱい……」

物凄く蕩けきっているのを見、意識があるのか不安になって天井を見上げる綾小路の上に片手をちらつかせて左右に振った。

「………………ヨカッタ?」
「……風間は?」

天井から、僕へと視線の向きを変えた。意識はあったようで安堵のため息をつく。しかし、それを打ち破るように、じっと見詰める綾小路の指が僕の頬を撫でていく。

「…………」
「ねぇ……風間は………気持ちよかった……?」



「―――言わなくていいって、言ったよね。僕」











第二ラウンド開始。













2010/07/27  ネタを思いついたので久々に出した。天然もいいぞ!^▽^