02/つよく求めすぎた代償
「本当、美味しそうに舐めるねえ」
言われて動きを止め、綾小路は僕を捉えた。上目遣いとか反則じゃないの。
でも故意的にしているわけじゃないことは、よおく把握している。そりゃ何回もやってれば相手の仕種やら行動やら分かってくるに決まってるだろう。
「こ、これは」
「分かってるよ、実際に美味しいんだろ」
匂いのせいで、そう言いながら頭を撫でてやると少しだけ陶酔した。
彼にとって僕から与えるものは何でも好きらしい、これこそ冥利に尽きるってもんだね。そろそろと再開する様はいつ見ても艶かしく感じる。あれかな、普段、真面目で通してる奴が面白いほど乱れてるせいかなあ。
「ん、んーふ、んっ」
確かに豹変するが、今まで性行為に及んだ子達より酷いとは思う。
絶対、快楽に溺れて周りが見えてないだろ。此処が何処か分かってるのかねこいつ。
それにしても…なんというか……巧いな。
「最初の頃と比べたら確実に上達してるね、えらいえらい」
「ぷぁ、…だって、かざまが」
「そうだなあ、此処まで巧くなるなんて思わなかったよ。教えた甲斐があるってもんかな」
「ふ、それに、んは、風間にも、きもちよくなってほしいからに、決まってるだろ」
凄い殺し文句を聞いた。彼にとって、この行為はお互いが良くならないと気が済まないらしい。変な所でこだわるなあ、いや、真面目っていうのかなこれ。まあ、一方的にやっちゃったら強姦まがいになるけれども……それはそれで面白いプレイだが……おっと、ちょっと本音が出た。
「は、うん、ん」
「…………」
やたらと甘ったるい声を漏らしてる所で、明らかに興奮しているのが目に見える。
せっかく抜いてやったというのに、これでは延々繰り返すだけだ。
「綾小路」
「は、え…なに?」
「もういいよ。どうせ我慢できないだろ?」
引き抜くと唾液の糸が一筋伝う。手招きすると口を拭いながら素直に従って、僕の上に座る。予想通り主張していて、思わず笑いを零す。後ろから手を忍ばせ、孔を解すと少しの痛みと悦の入り混じった声が漏れた。
「う、あっ」
「ほんとに、やらしくなっちゃってまあ」
仕方ないから此処で最後までするよ、と耳元で囁くと少し躊躇いながらも頷く。理性より本能が勝った瞬間だ。……そういえばゴムあったかなあ、使い果たした気がする。
「……こんなの、風間だけだ」
「…………」
うん、もうゴムなくてもいいか。
しかし、こいつは、さっきから殺し文句ばかり言っているの気付いてないのかね。
癪に障るので、こちらからも一つばかり殺し文句を言うとしよう。
「全く君は、ほんとうに僕を楽しませてくれるのが」
「―――実に上手いよ」
2009/10/16 完璧に風綾だと、こんくらい普通に対応してるのがよい^▽^